王(キング)の覚醒。

「べ~におちゅわ――」
「本日より世界同時公開となった『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の感想をマイスターが言いたいそうなので、はりきってどうぞ」

「紅桜、そんなすぐ、あたしのあしらいかたを覚えちゃだめよ……悲しくなっちゃう」
「円滑に進行するため努力した結果だったのですが、私は間違えていたでしょうか?」

「あなたは方法を間違えたの。取り返しのつかない間違いを……きっと、あたしも」
「『マクロスプラス』のラストで、ヒロインのミュンが、人工知能であるシャロンに向けて言った言葉ですね。なるほど、私は間違いを犯していたようです」

「大丈夫。間違いは正して、繰り返さなきゃいいの」
「マイスター……なんだか、とても大切な事を学んだ気がします」

「うんうん。ちなみに今、あなたがあたしに対して感じているのが、尊敬と憧れの感情よ」
「尊敬と憧れ……」

「紅桜、だまされてますよ。」

「ちょっとちょっと、つ~ばきちゃ~ん。だますってひどくない?」

「似てないモノマネとか茶番はいいんで、さっさと本題に移ってください。いつまで続ける気です」

「君が望むなら、どこまでも☆」

「イラッ☆」
「ツバキは帰ってしまいましたね」

「付き合いきれないって。テヘ☆」
(なるほど。これが“イラッとする”という感情……)

「え~っと……何の話だっけ?」
「レジェンダリー版『ゴジラ』の第2弾を観てきた――と」

「うい。平日だったんで初日に観てきました」
「事前に記憶の共有で内容を確認しましたが、あれが“怪獣映画”というものなのですね」

「まあ、“怪獣映画好き”が求めてるものとは微妙に違うんだけど、面白かった。評価としては2014年の第1弾と同じく、“ハリウッドが世界に向けて作る『ゴジラ』映画”としては100点。続きだけど劣化せず、ちゃんと派手になってた点を考慮するなら、理想の続編だったと思う」
「高評価ですね」

「脚本も展開も面白かったしね。ただ、怪獣映画としては今回も不満は残る。メインの怪獣が4体も出るし、キングギドラが超強いんだけど、やっぱりゴジラが戦うシーン自体は短いのよ」
「……確かに。前作も全編に渡ってゴジラの姿が映っているため、たくさん登場してはいますが、ただ移動するだけだったり、攻撃を受けているだけで、ゴジラ自身が戦っているシーンは少ないです」

「前作は、ゴジラが敵怪獣とガチで戦うのはラスト20分前から15分くらいだったはず。今回は世界観の説明とかが最小で済んだけど、登場怪獣は倍以上だから、やっぱりゴジラの“見せ場”は少ない」
「そこはやはり、人間ドラマがメインという事でしょう」

「一般のお客さんに向ける以上、しょうがないんだけどね。その分、凝縮されてはいるし、『ゴジラ』ファンならニヤリとするネタや展開もある。クライマックスには平成版を彷彿とさせる姿になったりしてな!」
「つまり、バランスは取れていて面白いけど、マイスターのような層には物足りない感が否めない?」

「オタクのワガママです。面白いからこそ、より多くを求めちゃう。ただ、これは日本の怪獣映画ファンも観てほしい。あ、でも、そういう人には『キングコング:髑髏島の巨神』の方がオススメかも」
「それも『モンスター・ヴァース』シリーズに含まれるんですよね」

「そう。『ゴジラ』(14)、『キングコング』(17)、そして今回の『キング・オブ・モンスターズ』が『モンスター・ヴァース』シリーズ第3弾で、次は『ゴジラVSキングコング(仮)』らしいわ。日本でも怪獣映画が普通に作られる日が来る事を祈って、今回はこの辺で。じゃあ紅桜、可愛く締めて」
「……がおー」
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』公式サイトはこちら
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